業界研究  証券

世界を股にかけ、巨額の資金を動かす

業界の特徴

証券会社は、企業や国に自らの資金を投資したいという投資家に対し、株や債券といった有価証券の売買などを仲介する重要な役割を担う。株式の売買や投資信託(投資家から集めたお金を資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品)の募集時に投資家から支払われる手数料収入、トレーディング損益(自社による金融商品売買で得た収入)が収益の柱となっている。

 

証券会社の主な業務には、一般投資家の売買仲介を行う「委託売買(ブローカー)業務」、証券会社が自社の資金で売買を行う「自己売買(ディーラー)業務」、新規発行の株式や債券を一般投資家向けに買い取り、売れ残った場合は証券会社が引き取る「引き受け・売り出し(アンダーライター)業務」、多くの投資家に有価証券の販売を勧誘する「募集・売り出し(セリング/ディストリビューター)業務」などがある。

 

近年は、実店舗を持たずにインターネット上で営業するネット証券が、安価な手数料や取引の手軽さなどを武器にシェアを拡大。店舗型の大手証券もネット取引に参入し、競争が激化している。

 

業界の動向

2008年の金融危機以降、経営環境の悪化で再編や廃業が相次ぎ、国内証券業界は縮小傾向にあった。2009年には最悪期を脱したものの、2010年以降は欧州債務危機などの影響で円高が進み、輸出関連企業を中心に株価が下落。そこへ発生した東日本大震災により、さらに株式や債券の売買業務が落ち込んだ。国内株式市場の低迷を受け、近年、大手証券各社は海外での事業拡大に力を入れてきたが、長引く欧州債務危機の影響で採算が取れなくなり、リストラで状況改善を図るなど、苦戦を強いられることになった。

 

しかし、安倍晋三内閣の経済政策・アベノミクスで株高・円安が進み、2012年末からは状況が一変。個人投資家による株式売買や投資信託販売の活発化で手数料収入が伸び、各社の業績は急速に回復している。とはいえ、株式市場の活況がいつまで続くかは未知数で、手放しで楽観視できるものでもない。各社は2014年からスタートする少額投資非課税制度(日本版ISA、愛称NISA)への取り組みを強化し、投資未経験者の取り込みにも力を注いでいる。

 

売買代金の低迷で頭打ちの状態が続いていたネット証券も、アベノミクスによる株式相場の活況で株式売買が増加し、業績が回復。一方で、NISAの導入を前に、株式売買手数料の引き下げによる顧客獲得競争は激しさを増している。

 

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