業界研究  証券

世界を股にかけ、巨額の資金を動かす

業界トピックス

NISA普及へ向けた取り組みが活発化

日本銀行が発表した2013年4~6月期の資金循環統計によると、1590兆円の個人金融資産の54%を現金・預金が占め、株式や投資信託の割合は12%に留まっている。こうした中、政府が2014年1月にスタートする少額投資非課税制度(日本版ISA、愛称NISA)は、個人投資家のための新しい税制優遇制度。年100万円までの投資で、株式や投資信託の売却益や配当益が最長5年間非課税になる。狙いは、株主になるのに最低限必要な投資金額を低く設定することで、小口の個人投資家や投資未経験者を呼び込み、個人投資家のすそ野を広げること。これを機に株や投資信託への関心が高まれば、NISA以外での投資の活発化にもつながるとして、証券業界は期待を寄せている。2013年10月にNISAの口座開設手続きが開始されると、各社は売買手数料無料の投資信託の投入や、口座開設特典の現金プレゼントなど大々的なキャンペーンを実施、競争が激化している。

 

インサイダー取引に揺れた2012年の証券業界

2012年、野村ホールディングス、大和証券(旧・大和証券キャピタル・マーケッツ)、SMBC日興証券など大手が軒並み企業の公募増資(※1)に関わる公表前の情報を一部の投資家に漏らし、インサイダー取引に加担したことが発覚した。問題となった不正取引は「増資インサイダー取引」と呼ばれ、公表前の増資情報を入手した投資家が、その企業の株式を空売り(※2)し、安値で買い戻して差額利益を得るというもの。企業が増資すると発行株式総数が増え、1株あたりの価値が目減りするため、株価が下がりやすい。そこで企業が増資を発表する前に株式を空売りし、発表後、株価が下がったところで買い戻せば、その差額分が投資家の利益となり、それによる手数料が情報を投資家に流した証券会社の懐に入る。一方、空売りによって株価の下落に拍車がかかり、株式の発行体である企業や一般の投資家は大きな損失をこうむることになる。金融庁から業務改善命令を受けた野村證券をはじめ、各社はトップの辞任や外部・部署間での情報管理体制の強化などを行い、信頼回復に努めている。

 

※1 上場企業が新しい株式を発行(増資)する際、不特定多数の投資家に取得の申込募集を行うこと。

※2 投資家が保有していない株式を証券会社から借り、それを売却すること。

 

 


  • 前のページに戻る

会員の方はこちら

教師番号(※教師番号がない方はメールアドレス)
パスワード

ログイン

  • 新規会員登録はこちら
  • 採用お祝いポイントプレゼント!
  • 掲載希望の企業様へ 是非徒も貴社の広告宣伝、求人活動にご活用ください。