業界研究  生命保険・損害保険

病気、事故、災害……「もしも」の時のリスクを補う

業界トピックス

生命保険会社の株式会社化とは?

保険会社の組織形態には、保険会社だけに認められた「相互会社」と、業種を問わず広く普及している「株式会社」がある。かつては保険会社の多くが相互会社の形態をとっていたが、統廃合などでしだいに数を減らし、近年は保険業法の改正を受けて株式会社へと移行する企業も見られるようになった。2013年現在、国内で営業する生命保険会社43社(外資系生保・生保系損保含む)のうち、相互会社は5社のみとなっている。

相互会社が株式会社化する大きなメリットは、株式の発行による大規模な資金調達と、株式会社や他業種企業との買収・合併・統合が可能になること。国内の保険市場が縮小する中、必要な資金を柔軟かつスピーディに集め、現地企業の買収による海外展開や他業種への進出など大胆な経営戦略をとることができるのは非常に大きい。反面、契約者だけでなく株主にも配当という形で利益を還元しなければならないため、契約者の利益を第一に考えることが難しいというデメリットもある。そのため、2010年に大手生保として初めて第一生命保険が株式会社化して以降、それに続く動きは見られていない。

 

医療・介護・年金保険が成長分野。介護サービス事業への参入も加速

少子高齢化の進展によって年金、医療、介護など社会保障への不安が高まり、将来のリスクに備える民間保険の必要性が増している。中でも、医療保険、介護保険、公的年金の不足を補うための年金保険は、今後ますます需要が見込める分野で、保険各社は新商品の開発・投入に力を入れている。また、介護事業者との提携で契約者向けの訪問相談サービスを行ったり、老人ホーム運営会社を買収して介護施設の運営に乗り出したりと、介護サービス事業へ本格参入する生保・損保会社も増えている。

 

アフラックとの提携でかんぽ生命保険が「がん保険」に参入

2013年、傘下にかんぽ生命保険を有する日本郵政が、米国の医療保険最大手アメリカンファミリー生命保険(アフラック)との提携強化を発表した。これにより、日本郵政はアフラックのがん保険を取り扱う郵便局の数を現在の約1000から約2万に拡大、かんぽ生命保険の79の直営店でも販売を開始することになった。郵政民営化により2007年に誕生したかんぽ生命保険は、日本郵政が株式を100%保有し、その日本郵政の株式を政府が100%保有していることから、実質上の国有企業といえる。そのため、かんぽ生命保険の新規事業参入については、「政府を後ろ盾とする民業圧迫」だとして生保業界が猛反発してきた。アフラックとの提携についても業界は警戒を強めているが、今回は日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加という国益が絡んでいる。また今後、日本郵政が民間生保との提携を広げ、全国の郵便局の販売窓口を本格開放すれば商機の拡大が見込めることから、現時点では生保業界は静観の構えを見せており、今後の動向が注目されている。

 

 


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