業界勢力図  エネルギー

電力 ~ 原発事故の影響で見通し立たず、経営状態の悪化が続く

電力業界売上高ランキング&対前期比

1 東京電力 5兆9,762億円 増加

2 関西電力 2兆8,590億円 横ばい

3 中部電力 2兆6,489億円 やや増加

4 東北電力 1兆7,926億円 やや増加

5 九州電力 1兆5,459億円 横ばい

(数字は2012年度の実績。有価証券報告書に基づき作成)

 

主要企業の最新動向&トピックス

1位 東京電力

世界最大の民間電力会社。営業エリアは首都圏1都7県と静岡県の一部。東日本大震災で同社の運営する福島第一、第二原発が停止し、水素爆発や原子炉損傷などで放射能物質が漏出。最も深刻な「レベル7」の事故に発展した。発電能力低下による減収や、火力発電での燃料費の膨張に加え、廃炉費用や巨額の損害賠償で収益が著しく悪化。自力での再建は困難なため、2012年7月に政府の原子力損害賠償支援機構から1兆円の出資を受け、実質国有化された。コスト削減を進める一方、電力料金の値上げで事業の立て直しを狙っている。2013年9月、原子力規制委員会に柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査を申請し、再稼動を目指している。

 

2位 関西電力

近畿地方と三重、福井、岐阜などが営業エリア。原子力発電への依存度が国内電力の中で最も高い。光ケーブルによる通信事業、太陽光や風力システムの開発・導入にも力を入れている。福島第一原発事故後、オール電化の営業が厳しくなり、ライバルである大阪ガスの攻勢を受けている。2012年8月、同社の保有する原発11基のうち、大飯原発の2基が営業運転を再開(2013年12月現在、定期検査のため運転を停止中)。

 

3位 中部電力

中京3県と長野、静岡が営業エリア。火力発電の構成比が高く、原子力は浜岡原発のみ。政府の要請により浜岡原発の原子炉3基を停止中で、防潮壁などの津波対策工事を進めている。オール電化と光ケーブルによる通信事業に注力しているほか、2010年に御前崎風力発電所の営業運転をスタート。2013年には新電力「ダイヤモンドパワー」の買収で首都圏での電力販売に進出している。大阪ガス、東邦ガスとLNG(液化天然ガス)の共同購入やパイプライン接続などで提携を結んでいる。

 

4位 東北電力

東北地方6県と新潟が営業エリア。火力発電所を多く抱え、新エネルギーでは4つの地熱発電所を保有。東京電力と多くの電力融通を行っている。2011年には震災と津波の影響で保有する原発4基すべてが停止。火力発電も主力設備の一部が停止状態となり、送配電設備も含めて甚大な被害を受け、供給力回復に務めている。福島県で進めていた浪江・小高原発の新設計画を2013年に断念。青森県で予定している東通原発2号機の増設計画は維持する方針だが、敷地内の断層が活断層の疑いがあると指摘されていることから、1号機の運転再開を含め、今後の見通しは立っていない。

 

5位 九州電力

九州7県と広島の一部を営業エリアとし、オール電化を推進。産業用電力の需要比率の高さが特徴。日本初のプルサーマル(使用済核燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物燃料の再利用)発電を実施している玄海原発3号機など保有する6基すべてが停止しており、津波や電源喪失に備えた対策強化に取り組んでいる。増設計画がストップしている川内原発3号機が懸念材料。新エネルギーでは地熱発電所 5ヵ所、風力発電所 3ヵ所を持つ。

 

このほか、中国電力、北海道電力、四国電力、沖縄電力の電力大手、日本原子力発電(保有する3基の原子炉をすべて停止中)、J-P0WER(火力発電が中心。大間原発の建設を中断中)などの電力卸売会社がある。

 

▶次ページではガス業界を紹介。業界全体の動向については業界研究をチェック!

 


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