業界研究  運輸

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業界トピックス

国際的な物流ネットワークの構築が進行

顧客企業のグローバル展開の加速や社会インフラとしての役割、競争力強化などの面から、運輸業界では海外の陸運・空運・海運会社との業務提携による国際的な物流ネットワークの構築が活発に行われている。陸運のヤマトホールディングスは国際物流のドイツポストをはじめ、各国の郵便事業者に国際メール便の配達を委託。日本通運は米大手物流のフェデックス・コーポレーションと配送委託関係にある。日本郵便(旧・郵便事業。2012年10月に郵便局と合併して現名称へ変更)は同じく陸運の山九と共同でJPサンキュウグローバルロジスティクスを設立し、陸・海・空を組み合わせた国際物流を展開している。一方、大手海運は海外の海運・運輸会社とともに世界規模のコンテナ船共同運航ネットワークを構築しており、日本郵船は「グランドアライアンス(GA)」、商船三井は「ザ・ニューワールドアライアンス(TNWA)」、川崎汽船は「CKYHグリーンアライアンス」に所属。2011年にはGAとTNWAがコンテナ船のアジア~欧州航路で「G6アライアンス」を結成し、その後、運行範囲を拡大している。

 

国内「LCC」3社の明暗分かれる

空運業界では、これまで高付加価値の高級路線スタイルを取ってきたJAL、ANAの大手2社が、格安航空会社(LCC)に参入。ANAは香港の投資会社との共同出資で関西空港拠点の「ピーチ・アビエーション」、マレーシアのLCC大手エアアジアと合弁で成田空港拠点の「エアアジア・ジャパン」を設立。JALはオーストラリアの航空大手カンタスグループなどと共同で成田空港拠点の「ジェットスター・ジャパン」を設立し、それぞれ2012年に就航を開始した。3社の滑り出しは好調に見えたが、徐々に明暗が分かれ、2013年現在、成功したと言えるのはピーチ・アビエーションのみとなっている。エアアジア・ジャパンは同年6月にANAが完全子会社化し、「バニラ・エア」へと社名を変更、機体も一新して12月より再出発。ジェットスター・ジャパンは2013年6月期決算で88億円強の最終赤字を計上したことから、11月に110億円の資本増強が実施されている。定着に向けて正念場を迎えた2社の動向が注目される。

 

期待は不動産・流通などの非鉄道事業

鉄道各社は沿線の魅力向上による輸送人員の拡大を狙い、ターミナル駅周辺の再開発事業に力を入れている。2012年には、JR東日本が約5年間に及ぶ復元工事を終え、東京駅丸の内駅舎をグランドオープン。JR西日本は大阪駅北エリアの再開発事業「大阪ステーションシティ」を2011年に開業している。私鉄では、2012年に東武鉄道が商業施設「ソラマチ」を併設した高さ世界一(634メートル)の電波塔「東京スカイツリー」を開業し、東京急行鉄道も複合商業施設「渋谷ヒカリエ」をオープン。近畿日本鉄道は大阪・阿倍野橋駅前に超高層複合ビル「あべのハルカス」を建設中で、2014年3月の全面開業を予定している。鉄道事業が成熟期に入った今、各社の成長は不動産・流通などの周辺事業にかかっており、今後もこの流れは続く見込みだ。

 

 


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