業界研究  銀行

お金の循環をつかさどり、経済の活性化を促す

業界の動向

世界的な金融危機に見舞われた2008年度は、多額の有価証券評価損などの発生により、メガバンクをはじめ各行が軒並み赤字を計上した。しかし、2009年度には黒字に転じ、2012年度も高水準の収益を維持している。不況による国内企業の資金需要の鈍化で、銀行本来の業務である貸し出しの低迷が続く中、銀行の高収益を支えてきたのは高水準の国債売買益だ。メガバンクでは海外事業の拡大も収益増に貢献している。

 

しかし、日本銀行が2013年4月に量的・質的金融緩和を導入したことで、メガバンクでは国債中心の運用戦略の見直しが急務となった。各行は国債の保有残高を大幅に圧縮する一方、外国債券や株式など運用先の多様化を推進し、収益の確保を図っている。同時に、国内での貸し出しの拡大も求められているが、国内融資には復調の兆しが見られるものの、国債減少分を埋めるほどの収益源とは言い難い。そこで、各行は農業や医療・介護、環境など成長産業の掘り起こしを進めると共に、証券関連ビジネスの強化、海外での事業拡大にも力を注いでいる。

 

地方銀行が貸し出しの主力としている地方の中小企業には、まだアベノミクスの波及高価は見られず、貸し出しは停滞が続いている。これまでは余った資金を国債で運用し、収益の柱としてきた地方銀行も、日本銀行の金融緩和で金利(債券の価格)の変動が大きくなり、国債の運用で安定した収益を得ることが難しくなった。そこで、大手を中心に外債(外国債券)など海外資産を買い増し、運用先を多様化する動きが広がっている。

 

信用金庫・信用組合は非営利組織だが、預金者の保護のために経営の健全性維持が求められる点では、営利を目的とする株式会社組織の銀行と同じ。ここでも貸し出しは低迷しており、信用金庫・信用組合は余った資金を債券や中央機関(信用金庫は信金中央金庫、信用組合は全国信用組合連合会)への預金などで運用している。中央機関は国債を運用の柱としているため、メガバンクや地方銀行同様、運用先の多様化が求められている。

 

一方、インターネットやコンビニなどで取引・手続きができるネット銀行・流通系銀行は好調を維持。カードローンや住宅ローンなど取り扱いサービスの拡大も手伝って、順調に業績を伸ばしている。

 

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